Last Updated:
06/15/2002
The Sword of the Lictor (1981, Timescape Books)
「警士の剣」 岡部宏之訳、早川書房、昭和62年、ハヤカワ文庫SF724
ローカス賞ファンタジー部門受賞、ヒューゴー賞候補、ネビュラ賞候補、世界幻想文学大賞候補
罪を問われて故郷の<拷問者組合>から追放されたセヴェリアンは、幾多の冒険をかさねたのち、スラックスの街にたどりついて、警士としての日々を送っていた。だがふとした偶然で昔なじみのアギアと再会したことから、彼はスラックスを出て、再び荒野を目ざすことになった。セヴェリアンの前には、謎を秘めた人間や異形のものが次々現われ、いつしか彼は、さしもの名剣テルミヌス・エストにも断ち切れぬ運命の糸にからめとられていくのだった!黄昏に沈む惑星ウールスを舞台に、言葉の魔術師と謳われるウルフが織りあげる傑作サイエンス・ファンタジイ第三部ついに登場!--「警士の剣」表紙裏紹介文より
スラックスの町で、セヴェリアンは執政官のもとで警士としての任に着いていた。ネッソスから遠く離れたスラックスの地では謀反を企てるものも多く、セヴェリアンの仕事は忙しかったが、一方ドルカスは物思いに沈むことが多かった。ある日セヴェリアンはドルカスが川岸でひとり放心状態でいるのを偶然見つけ、わけがわからぬまま近くの旅籠で休ませることにした。
その晩セヴェリアンは執政官の要請により城での仮面舞踏会に参加することになった。執政官の命により拷問者の衣装のまま仮面舞踏会に出席したセヴェリアンは、<鉤爪>を返還するために探し求めていたペルリーヌ尼僧団の衣装を身に着けた女に出会った。女の名はサイリアカ、スラックスの近くに住むある大郷士の妻だった。サイリアカはセヴェリアンにウールスの古代の歴史の物語を話して聞かせ、二人はアルコーブの中で拷問者のマントに身を隠して愛を交わした。執政官は実はサイリアカを処刑させるためにセヴェリアンを招いたのだった。サイリアカはあまりにも多くの男を愛し、執政官の有力な支持者である夫の顔に泥を塗ったのが理由だった。しかしかつて愛するセクラを救えなかったセヴェリアンは、その引換えにサイリアカを逃がしてやることにした。
セヴェリアンは、ドルカスが過去の記憶を取り戻したこと、自分の過去と向き合うためにネッソスに向かうつもりだということを知った。サイリアカを逃がしたことにより、自身スラックスから逃亡せざるをえなくなったセヴェリアンは、ドルカスに別れを告げ、ペルリーヌ尼僧団のいると言われる北に向かった。山中でセヴェリアンはある女の家で一夜を過ごすことにしたが、その晩一家をアルザボが襲った。アルザボは女の夫と娘を既に食べており、残る家族をも餌食としようとするのだった。セヴェリアンの助けでなんとか一家はアルザボから逃れるが、結局少年一人を残して全滅した。セヴェリアンは自分と同じくセヴェリアンという名の少年を連れて旅を続けることになった。
セヴェリアンと少年の二人は、<新しい太陽>に反対する魔法使いの集団に一旦は捕えられるが、なんとか逃げ出して古代の町にたどり着いた。しかしそこで少年は侵入者に対する罠にかかって殺され、セヴェリアンは人工冬眠から復活したテュポーンという名の古代の支配者の虜となるが、これを倒した。
山中の湖にやって来たセヴェリアンは、そこで湖の住民を搾取する圧政者がタロス博士とバルダンダーズであることを知った。彼らの城を訪れたセヴェリアンは、同じく城を訪れていた神殿奴隷たちと不思議な会話を交わすが、<鉤爪>をバルダンダーズに破壊されたため、巨人と闘うことになった。
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