ultan.net: 作品紹介

Last Updated:

06/30/2001




Galen Strickland 氏による作品紹介

以下のテキストは Galen Strickland 氏のサイト The Templeton Gate の中のジーン・ウルフの項を、同氏の了解を得た上で翻訳したものです。 -- Copyright 2000 by Galen Strickland

Gene Rodman Wolfe (1931- ) ニューヨーク生まれ、テキサスで育つ。朝鮮戦争の退役軍人。ヒューストン大学で機械工学を専攻。専門誌「プラント・エンジニアリング」の長年勤めたが1984年に退職してからはフルタイムライターとなる。この経歴からはハードSF作家のような印象を受けるが、実際の作風は正反対とも言える。ウルフの文体は詩的かつ神秘的、現代的であると同時に古風でもある。文学史上で類似の作家をあげるとすれば、ジェームズ・ジョイスかトマス・ピンチョン、それから少しばかりプルーストのことも思い浮かぶ。

SFの世界でもっとも人気があるわけでも影響力があるわけでもないが、ジーン・ウルフはまずまちがいなくもっとも重要な作家である。ウルフの作品はきわめて印象的なものであり、ウルフはSFの創作世界を、あたかもさまざまな色合いのコートのように身にまとう。 -- John Clute, The Encyclopedia of Science Fiction

ウルフは50年代後半に小説を書きはじめたが、不可解な事情により、1965年まで作品が実際に出版されることはなかった――未来の作家志望者にとっては勇気づけられる話だ。作家としてのキャリアが確立してからは、200以上の短編、20以上の長編を出版し、SF界でももっとも多作の作家の一人となった。ウルフ自身は自分の成功を規則正しい執筆習慣に由来するものとしている。すなわち、エンジニアリング、後には編集の仕事に出かける前に毎朝二時間執筆し、帰宅してから一時間を推敲にあてていたのだ。ウルフが成功の要因としているものがもう一つある。最初の担当編集者のデーモン・ナイトと、代理人のヴァージニア・キッド(両人ともSF作家でもある)だ。二人はウルフがスタイルを磨き上げ、小説作法を完成させるのに大いに貢献したそうだ。時折自分で小説講座の講師を務めることはあるが、この二人の師の他にはウルフは専門的な小説作法の教育を受けてはいない。

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