ultan.net: 作品紹介

Last Updated:

06/30/2001




Galen Strickland 氏による作品紹介(その6)

自身昔からのSFファンでもあるウルフは、姉妹ジャンルともいうべきファンタジーにも明白な興味を示している。セヴェリアン・サーガの絶頂ともいうべき "The Urth of the New Sun" と四冊からなる "The Book of the Long Sun" のシリーズを除くと、この時期のウルフ作品でSFとみなしうるのは "Free Live Free" だけである。これは複雑なタイム・トラベル小説だ。だが私はこれを一回読んだだけであり、あらゆる隠された意味を解き明かしたとはとうてい思えないので、ここで自ら内容を紹介すべきとは思わない。例えば "The Encyclopedia of Science Fiction" のウルフの項目で、ジョン・クルートはこの作品を L・フランク・ボームの「オズの魔法使い」の再話であるとしているが、私はそんなことは思いつきもしなかった。私自身が頭に思い描いたものは、第二次世界大戦中にロバート・A・ハインライン、アイザック・アシモフ、L・スプレイグ・ド・キャンプといったSF作家が海軍実験施設で調査研究をしていたとの噂のあった(もちろん根も葉もない間違いだが)「フィラデルフィア・エクスペリメント」の寓話版といったもので、そこで時間旅行と物質転送の研究がされている、といったものだった。

Free Live Free Soldier of the Mist Soldier of Arete There Are Doors Castleview

1986年にウルフは "Soldier of the Mist" を、1989年にはその続編の "Soldier of Arete" を発表する。これらの作品は紀元前5世紀のギリシアの都市国家の一つの戦士ラトロが主人公である。彼は戦闘の後負傷して自分の部隊から取り残される。セヴェリアンが完全な記憶という恩寵を授かっているのとは逆に、ラトロは女神の呪いにより絶えず記憶喪失に苦しめられる。ラトロは毎日物事を忘れ続け、物語は彼が部隊を見つけ出す旅を続けるために必要と思った断片を書きつづった短い文章を集めた体裁をとっている。このシリーズにはさらに続編が書かれるとの噂がある。

他のファンタジー作品として、1988年の "There Are Doors" と1990年の "Castleview" がある。前者はパラレルワールドへの扉を扱ったもので、その一つがふとしたことから一人の男の前に開かれる。男は反対側の世界で夢の女と出会い、女の愛を勝ち取るために自分の命まで含めたあらゆるものを犠牲にしようとする。"Castleview" はアーサー王伝説を現代のイリノイ州の田舎におきかえたもので、エクスカリバーを操る新しい勇者を探す物語である。

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