ultan.net: 登場人物

Last Updated:

07/20/2001




アスキア人 Ascians

長らく共和国と交戦状態にある民族。共和国の北方から大地のくびれを越えてやってきます。

きみたちは敵をアスキア人と呼ぶが、もちろん彼ら自身がそう名乗っているわけではない。きみたちの祖先が、彼らはウールスの腰にあたる地方からやってきたと思ったのだ。あの地方では正午に太陽が正確に頭上にくるからな。しかし、実際は彼らの故郷はもっとずっと北のほうだ。それなのに彼らはアスキア人、つまり”影のない人”といわれている。--「独裁者の城塞」第16章

アスキア人は<十七人組>と呼ばれる民衆の指導者に率いられているようです。アスキア人は<正しい思想>と呼ばれる承認されたテキスト――何千種類もの決まり文句――のみで会話します。例えば、

苦しい仕事をする者にきれいな水を与えよ。温かい食べ物と、清潔な寝床を与えよ。

というテキストは、

彼は旅に疲れ、腹を空かせて、農場に戻ってきました。

という意味になります。 (「独裁者の城塞」第11章より) 自然と文化大革命時の毛沢東語録とか、カンボジアのクメール・ルージュが頭に浮かびますね。アスキア人の国が北アメリカに設定されているのも、あまりにあからさまに東洋人を連想させるのを避けるためかもしれません。

独裁者に敵対するヴォダルスと同盟を結び、またエレボスとも同盟関係にありますが、その実はエレボスの奴隷です。

彼らがエレボスの奴隷だというのは合っている。彼ら自身は、深海で待っているものたちの同盟者だと考えている。実際は、エレボスとその同盟者は、彼らをこちらに与えるつもりでいるのだ。もし、わたしが彼らにわがほうの南を与えればね。きみと、そのほかのすべてを与えればだ。--「独裁者の城塞」第25章

なぜアスキア人――共和国よりも科学技術のレベルは高いとされています――はあえてエレボスの奴隷に甘んじているのでしょう。独裁者は語ります。

<新しい太陽>がくるまでは、われわれは諸悪のうちから選択することしかできない。すべてが試みられ、すべてが失敗に帰した。共通の利益、人民の支配・・・何から何まで。きみは進歩を望むか? アスキア人にはそれがある。彼らはそのために聾者になり、<自然>の死によって発狂し、結局、エレボスやそのほかのものを神として受け入れる寸前にきている。--「独裁者の城塞」第29章

敵がみんな同じ顔つきをしていることに気づくまでに、半ダースものアスキア人を切り倒したにちがいない(中略)狂乱の人影には、男性も女性もあった。女は小さいがゆらゆら揺れる乳房を持ち、身長が頭半分低かったが、それ以外に男女の相違はない。みな大きく、ぎらぎら光る凶暴な目と、頭の地肌すれすれまで刈りこんだ頭髪と、飢えた顔と、絶叫する口と、目立つ歯を持っていた。--「独裁者の城塞」第22章

共和国の原始性、野蛮性は、単に古い太陽の衰えによるものではなく、ある意味で選び取ったものでもあるのかもしれません。またアスキア人はサイリアカの語る星々に至った古代の種族の末裔なのかもしれません。なお、"The Urth of the New Sun" によるとセヴェリアンは「新しい太陽」を召還する旅に出る前に一年間をアスキア人の国で過ごしたことになっています。

ところで「小さいがゆらゆら揺れる乳房」ってどんなんだ?と原文を見ると、"small but pendulous breasts" とされています。で、"pendulous" を辞書で引くと「揺れている」「垂れ下がっている」とあります。「小さいが垂れている乳房」ではあんまりなんで、ここは訳文のままの方が良いかもしれません。:-)

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