ultan.net: 登場人物

Last Updated:

06/30/2002




初夏 Early Summer

「茶色の本」の中の「<蛙>と呼ばれた少年の物語」の登場人物。不思議な花の汁で身ごもり、<春風>王子を産み、<蛙>と<魚>の兄弟の祖母となります。おそらくはローマ神話のユノ(Juno)と同一人物だと思われます。

昔々、ウールスの岸辺の彼方のある山の上に、<初夏>という名の美しい女が住んでいた。彼女はその国の女王だったが、王は強くて、執念深い男だった。そして、女王は王に対して嫉妬深かったので、王も彼女に対しては嫉妬深く、彼女の愛人と思う男はすべて殺してしまった。

ある日<初夏>が庭園を歩いていると、今までまったく知らなかった種類の非常に美しい花が目に止まった。どんな薔薇よりも赤く、甘い匂いがしたが、丈夫な茎には刺がなく、象牙のように滑らかだった。彼女はそれを摘み、人目につかないところに持っていった。そこに横たわって花のことをいろいろ考えていると、その花は彼女にとって花ではなくなり、力強くて接吻のように優しい、昔から恋い焦がれている恋人のように思えてきた。その植物の汁のいくらかが体内に入り、彼女は身ごもった。だが彼女は、王にそれは彼の子だと告げた。彼女は用心堅固だったので、王はその言葉を信じた。--「警士の剣」第19章

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