ultan.net: 登場人物

Last Updated:

05/18/2002




エウゼビア Eusebia

ネッソスからスラックスに途中でセヴェリアンとジョナスが立ち寄ったサルトゥスの町の女。自分から愛するスタチズを奪ったとしてモーウェンナを逆恨みし、モーウェンナが夫のスタチズと子供を毒殺したと告発します。その結果モーウェンナは捕えられ、サルトゥスの村長の命を受けたセヴェリアンによって断首されることになります。

ひと塊の色が目に入った。強い春の日射しの中に、黒紫色のものが見えた。それは葬式のお供の者が持つ哀悼の薔薇のような、花束だった。それを持っているのは、河岸でモーウェンナを責めているのを見かけたあのエウゼビアだった。見ていると、彼女はその香りをうっとりと吸い込み、それから、その刺の生えた茎を利用して群集の中に自分の通る道をあけ、断頭台のすぐ根もとに立った。「おまえにこれをやる、モーウェンナ。これが萎れないうちに、お死に」--「調停者の鉤爪」第4章

エウゼビアの思惑通りモーウェンナは処刑されますが、おそらくはモーウェンナがエウゼビアの持つ花束に投げ込んだ毒のために自分も死ぬことになります。なお "The Castle of the Otter" 所収のエッセイ "Sun of Helioscope" の中でウルフは「薔薇は太陽の象徴である」と書いています。ならば黒紫色の薔薇、エウゼビアとそして象徴的にモーウェンナを死に至らしめる薔薇は、死にゆく<古い太陽>の象徴ということなのかもしれません。またエウゼビアが薔薇の刺を用いて群集をおしのけるのは、<血染めが原>のアギルスを連想させます。

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