ultan.net: 登場人物

Last Updated:

09/01/2002




グルロウズ師 Master Gurloes

セヴェリアンの時代に拷問者組合にいた二人の師匠のうちの一人。もう一人の師匠であるパリーモン師よりも年下であるにもかかわらず、組合の序列では上位にあります。

もっとも、物心がついて以来ずっと見てきたので慣れっこになってしまって、不思議にも思わなくなっているが、組合の業務を監督しているのは、彼よりもずっと年齢の若いグルロウズ師なのだった。--「独裁者の城塞」第12章

常にセヴェリアンを温かく見守ったパリーモン師とは異なり、グルロウズ師はしばしば残忍であり、罪を犯したセヴェリアンに対しても厳罰を主張していたようです。

「われわれはおまえを殺すわけにはいかないのだよ。それをグルロウズに納得させるのが大変だった」--「拷問者の影」第13章

しかしながら彼はなかなか一筋縄ではいかない人間のようです。

グルロウズは、わたしの知った最も複雑な人間の一人だった。なぜなら、彼は単純になろうと努力している複雑な人だったから。単純ではない、複雑な人の、単純な考えだったから。ちょうど、廷臣が、自らを輝かしくそして複雑なものにし、舞踏の師匠と外交官の中間ぐらいの存在にして、それに、必要に応じて暗殺者の要素をちょっぴり加えた人物に自分自身を仕立て上げるように、グルロウズは、紋章官補や廷吏がわれわれの組合の頭を召喚する時に会うことを期待するような、そういう鈍い人物に自らを仕立て上げていた。そして、そのようなタイプの人物こそ、真の拷問者がなり得ないものなのである。--「拷問者の影」第9章

セヴェリアン自身がそうであるように、拷問者は、他の人間が「拷問者」ときいて想像するような、暴力と権力の行使に喜びを見出すような、粗暴で残忍なステロタイプとはかけ離れた人々なのでしょう。とは言っても秩序と組織を維持するためにはステロタイプを演じてみせる必要があり、グルロウズ師はその役割を一手に引き受けていたのかもしれません。

わたしは組合を去る頃にはグルロウズ師を嫌いになっていた。彼はしばしば嘘をついたのだ。だが今、師が嘘をついたから、師が嫌いになったのか、それとも、師が嘘をついたから、嘘が嫌いになったのか、わからなかった。

それはともかくとして、グルロウズ師にはわたしと同様に立派な口実があった。たぶんそれは、わたしの口実よりも立派なものだったろう。彼は組合を維持し、その幸福を増進するために嘘をつき、われわれの仕事について、さまざまな役人や職員に大袈裟な説明をし、そして、必要な場合にはわれわれの誤りを隠したのである。(中略)もし彼がみんなに信じさせたがっていたような、単純で残忍な人物だったら、わたしは今、彼の不正直さは自分の利益のためだけだったと、確信することができたろう。だが、そうではなかったことを、わたしは知っている。--「警士の剣」第23章

登場する場面が少ない割りにはこのようの思わせぶりな書き方が多く、なにやらもっと裏のありそうなというか、仕掛けのありそうな人物です。

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