ultan.net: 登場人物

Last Updated:

05/12/2002




牛飼い herdsman

<絶対の家>から<石の町>に向かう途中、草原(パンパ)の中の泥炭でできた小屋に住む男。

その前のベンチに、皮の脚絆をつけた屈強そうな男が坐って、マテ茶を飲みながら、雲の色を眺めるふりをしていた。実際には、彼は、われわれが見るずっと前から、われわれを見ていたにちがいなかった。なぜなら、彼は小柄で茶色だったから、この小さな茶色の家に溶けこんで目につかなかったのに、われわれは空を背景にしてシルエットになって、よく見えていたのだから。--「調停者の鉤爪」第29章

この<牛飼い>は自分はただの無知な田舎ものであると称しますが、どうやらそれだけの男ではないようです。

「ああ」彼はいった。そしてマテ茶をすすった。「わしのほうがあんたより無知な男さ。このあたりの人間は、わし以外はみんな、ものを知らない折衷主義者ばかりだ。あんた、折衷主義者といわれる連中のことを知っているだろう?奴らは何も知らない――近所がそうだから、わしが何かを知っているわけがないだろう?」--「調停者の鉤爪」第29章

男の小屋の中には男の息子らしい病人が寝ており、セヴェリアンは<鉤爪>の力で病人を癒してやりますが、意識を取り戻した病人はセヴェリアンがスラックスに向かう警士だと気がつきます。

わたしがうなずいて、さらに質問しようとした時、病気の男が目を開いて、起き上がった。その毛布が滑り落ちた。見ると、その胸には血に染まった包帯が巻かれていた。彼ははっとして、わたしをまじまじと見つめ、それから何か叫んだ。その瞬間、わたしは牛飼いのナイフの冷たい刃を喉もとに感じた。「この人は何もしない」彼は病人にいった。彼も病人と同じ方言を使ったが、ゆっくり喋ったので、わたしにわかったのである。「おまえの素性を、この人が知っているはずはない」

ねえ、父さん、これはスラックスの新しい警士だよ。町の衆が呼び寄せたんだ。こいつがくると "棍棒持ち" がいっていた。殺して!こいつは、まだ死んでいない人を、みんな殺してしまうよ」--「調停者の鉤爪」第29章

息子(マナヘン)はスラックスの執政官アブディーススに反逆して負傷し、父親のもとに隠れているようです。父親の<牛飼い>もまた、単なる<牛飼い>ではないと考える方が自然でしょう。

M: メニュー I: インデックス P: ヴォダルス N: ウルタン師

管理人連絡先 webmaster@ultan.net