ultan.net: 登場人物

Last Updated:

11/17/2001




あばら家の少女 girl in the jacal

スラックスの町の、東の崖の上部にあるあばら家=藁葺き小屋(ハカール)に住む少女。ジャダーという名の少年の姉ですが、本人の名前はわかりません。なんらかの病気で死にかけているが、<鉤爪>の力によって回復します。

<鉤爪>の深い光を受けた少女の顔は、目の下の窪みや、剥げ落ちた頬が強調されて、昼間見たときよりもいっそう弱々しく恐ろしいものに見えた。(中略)これを使ったすべての場合で、このときほど目覚しい効果を発揮したことはなかった。おそらくこれは、わたしの側のいかなる自己欺瞞によっても、どれほど不自然な暗合によっても、起こったことに説明がつかない唯一の例だろう。(中略)だがこの場合は、まるで、想像もできないなんらかの力が、一クロノンと次のクロノンとの間に働いて、宇宙の軌跡をねじ曲げたかのようだった。少女の、澱みのように黒い本物の目が開いた。その顔はさっきまでの髑髏ではなくなっており、ただの若い女のやつれた顔になっていた。「そんなに輝く服を着ているあなたは、だれ?」少女は尋ねた。それから、「ああ、わたし夢を見ているんだわ」--「警士の剣」第8章

天使のごとく光り輝くセヴェリアンを眼にしたこの少女は、後に預言者となり、"The Urth of the New Sun" では時の独裁者に対して「新しい太陽」がついにやって来たことを告げます。ところで、この少女に対する<鉤爪>の威力はきわめて強力なものだったようです。それは直前にセヴェリアンが経験した一種の啓示と関係があるのかもしれません。

わたしは振り返って町を眺めた。ちょうど、その日の午後にアシーズ城の狭間から――気分はまったく異なっていたが――町を見下ろしたのと同様に。人の話では、山には、そこに星が見えるほど深い割れ目が――つまり、世界を完全に突き抜けている割れ目が――あるということである。今わたしはそれを見つけたような気分になった。それはまるで、下にある星座を覗きこむようなものだった。まるで、ウールス全体が脱落してしまって、自分が星の輝く深遠を覗きこんでいるような。--「警士の剣」第8章

スラックスの北方の山岳地帯でもセヴェリアンは同様の啓示を経験します。これは<新しい太陽>の力がセヴェリアンにはっきりとした影響をおよぼし始めており、セヴェリアンが自分を取り巻く世界と一体化しつつあることを示すものかもしれません。またセヴェリアンは常に山に惹きつけられますが、それは山々に近づくことが星々の世界にいたる第一歩だからかもしれません。この山々と星の世界との類似性は、パリーモン師がスラックスのある場所をギョルの下流と間違えたエピソードとも関係があるかもしれません。

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