ultan.net: 登場人物

Last Updated:

07/28/2002




キム・リー・スン Kim Lee Soong

<絶対の家>にある<控えの間>の囚人たちの最も古い祖先の名前。

「きみは前に、わたしの名前を珍しいと思うといったなあ。キム・リー・スンなら、わたしが・・・・・・子供の・・・・・・頃には、非常にありふれた名前だったかもしれない。現在は海底に沈んでしまった場所では、ありふれた名前だったかもね」--「調停者の鉤爪」第15章

囚人のある者は自分たちが七世代目の囚人だと言いますが、実際に最初の囚人がどのくらい過去まで遡るかに関する知識は失われ、ただ「キム・リー・スン」という名前だけが残っています。

「昔は本を読んだものだ。船内でね。歴史の本を読んだことがある。きみは何も知らないと思うが、ここは何千年も経過しているんだぞ」--「調停者の鉤爪」第16章

こう語るジョナス自身は、ウールスの人類が宇宙旅行をしていた時代の宇宙船乗りで、長い年月がたった後にウールスに戻ってきて不時着したアンドロイドです。ジョナスの時代にはおそらくアジア系の「キム・リー・スン」(中国系だか朝鮮系だか不明です。あと全部姓のような気もする)といった名前が普通であり、その国は今は海底に沈んでしまったということです。しかしジョナスの時代はセヴェリアンの時代から、数千年どころか数万年も隔たっているのではないかとも思われます。<控えの間>の囚人たちが数千年ならまだしも数万年も同じ場所に捕えられているとは考え難いのですが、囚人のひとりの少女が語る言葉にヒントがあるように思われます。

「埋葬人は黒を着ているわ。あなたは死者を葬るの?航海士のお葬式のときには、黒い馬車がきて、黒い着物の人々が歩いていたわ。あなた、そういうお葬式見たことある?」」--「調停者の鉤爪」第16章

おそらく少女は自分で見たものではなく、囚人たちの言い伝えを話しています。それでは唐突に登場する「航海士」(navigator)とはいったい誰でしょうか?これが囚人たちの集団記憶であるならば、「航海士」は「キム・リー・スン」と同様に囚人たちの祖先のひとり、あるいは「キム・リー・スン」その人かもしれません。そう仮定すると、囚人たちの祖先はジョナスと同様、宇宙旅行をおこなわなくなった時代のウールスに不時着して捕えられた宇宙船乗りたちだったのではないかと考えられます。<控えの間>で囚人たちと話した後ジョナスが陥った錯乱状態も、自分と同様の境遇に陥った船乗りたちのその後の運命を知ったが故と思われます。

もちろんロマーやニカリートのように、最近になって<控えの間>にやってきた囚人もいるわけで、全ての囚人たちが宇宙船乗り起源というわけではありません。

M: メニュー I: インデックス P: 管理者 N: キャサリン

管理人連絡先 webmaster@ultan.net