ultan.net: 登場人物

Last Updated:

11/04/2002




火蜥蜴(サラマンダー) salamander

スラックスの町に夜な夜なあらわれて人々を焼き殺す怪物。実はセヴェリアンを探すためにヘトールがウールスの外の世界から呼び寄せた生き物です。同じくヘトールに遣わされたノトゥールと同様に、生物の発する熱を感知して獲物に襲い掛かるものと思われます。

そいつは光の方を向いた。その得体の知れないものは、花が開くように開いたように思われた。ほとんど目にもとまらぬ早さで背丈が伸び、体が薄くなり、発光するガーゼのような、熱いけれども、どことなく爬虫類のような感じの生物になった。ちょうど北方のジャングルから持ってこられたのをたまに見る、あの色彩豊かな蛇が、一見色つきの琺瑯製品のように見えても、やはり爬虫類であるように。(中略)

さっき、そいつが騎馬兵に向かって体を広げた時に、わたしは後ろから見て、爬虫類の花のようだといった。その印象は、今、恐ろしく光り輝くその姿をくまなく見ても、やはり変わらなかった。もっとも、今は、さらに二つの別の印象が加わったけれども。その一つは、強烈な、そして、この世のものとは思われない熱感だった。それは依然として爬虫類のようであり、それも、ウールスでは決して知られていない状態で――ちょうど砂漠のエジプトコブラが雪玉の上に落ちでもしたように――燃えている爬虫類なのだった。もう一つの印象は、空気とは違う風にはためいているぼろ布、というものだった。それはやはり花ではあるけれども、白と淡黄色の花弁を持つ花であり、それ自身の心臓の熱から生じた恐ろしい嵐にはためく炎なのであった。--「警士の剣」第9章

ここでは「花」「色彩豊かな蛇」「空気とは違う風にはためいているぼろ布」といった比喩が使われています。「花」と言えば<新しい太陽の書>のあちこちに<太陽>の象徴としての薔薇の花が登場します。熱く燃えさかる「花」はまさに<太陽>をあらわすものでしょう。一方「蛇」はというと、「調停者の鉤爪」でアプ・プンチャウを呼び出す場面において、クーマイの巫女がセヴェリアンには爬虫類に見えるというシーンが頭に浮かびます。また「空気とは違う風にはためいているぼろ布」という言葉からは、<絶対の家>で両性具有人がセヴェリアンに見せた本の中の宇宙をはばたく女のこと、それにアプ・プンチャウとの出会いの後に残された赤い布が思い浮かびます。

これらはいったい何を意味するのでしょうか。単純に火蜥蜴がウールスの外の世界のものだから、というだけかもしれませんが、もっと深い意味が隠されているような気がしてなりません。誤解を恐れずにいうと「花(新しい太陽)」の意志を受けた「蛇・ぼろ布(神殿奴隷)」の介入により、セヴェリアンはスラックスの町を後にして独裁者となる道を歩むことをあらわすのかも知れません。そこまで言うと我ながら強引ですが。

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