Last Updated:
09/16/2001
Robert Borski 氏は、セヴェリアンの母親であるキャサリンとオウエンとの出会いについて次のように述べています。
My read of this is that Catherine was *already* on the run when she met Ouen, and then became pregnant in the one conjugal episode they had, shortly *after which* she's arrested. Given Ouen's livelihood--he's been working in inns since he was ten--I find it difficult to imagine him first meeting monial Catherine, then Catherine (who after all is probably an exultant) surrendering her virginity to a potboy/waiter. Whereas being on the run, and needing a place to stay or hide out for a night, she'd probably accept a berth from most anyone. And given the fact that she and Ouen coupled only once, it also seems likely her pregnancy would only be detected later, after she'd been incarcerated. (This is why I have trouble with the protective custody aspect mantis suggests--I doubt the authorities realize she's pregnant until well into her incarceration). As to why she's on the run from the Pelerines, I can only speculate. She may have been a slave like Winnoc who wanted her freedom or she may have simply stole something from the order (the Pelerines have a fair amount of wealth, it seems). My pet theory, however, is that she stole the Claw--or more appropriately it stole her (the same way it did Severian after the fiacre crash), this being the Claw's way of ensuring the Conciliator's eventual rebirth.-- Fri, 9 Oct 1998 11:48:43 by Robert Borski
Earlier, I asserted Catherine (Severian's mother) to be the daughter of Valeria. So then, who's her father? It's Dux Caesidius, Valeria's second husband. According to Eata, Caesidius is taller than Severian (which would given Catherine her height), but looks very similar (hence the source of Cath's dark looks). -- Fri, 9 Oct 1998 16:44:34 by Robert Borski
Change the C to K and you have Karina, a Danish variant for Katherine, so clearly (as I've argued before) the woman is linked to either Saint Katharine, patron saint of the Torturer's guild, or Catherine, Severian's mother. -- Wed, 7 Apr 1999 20:00:42 by Robert Borski
セヴェリアンの母親であるキャサリンとの出会いについてオウエンは語ります。
「一度です、旦那」彼はいった。「そうです、旦那。キャサリンという名前でした。古くさい名前だと、みんないいました」彼は言葉を切って肩をすくめた。「おっしゃるとおり、ごたごたがありました。彼女はある修道院から逃げてきたのです。法律が彼女を捕え、わたしは彼女に二度と会っていません」 --「独裁者の城塞」第37章
その後キャサリンは拷問者の虜囚となってセヴェリアン(とメルリン)を出産し、その後おそらく処刑されることになります。それではいったいキャサリンはどのような罪を犯し、またどこからやってきたのでしょうか?まず修道院ときいて思い浮かぶのは当然ペルリーヌ尼僧団ですが、だとすると何故キャサリンはペルリーヌ尼僧団から逃げてきたのでしょう?ペルリーヌ尼僧団に対する、または独裁者に対するもっとも重大な犯罪と言えば、<鉤爪>を盗むこと、あるいは破壊することでしょう。仮にそうだとして、何故キャサリンはそのような大罪を犯したのでしょう?
未訳の "The Urth of the New Sun" の中に、興味深い一節があります。<新しい太陽>の招来に成功したセヴェリアンが絶対の家に戻る直前、<空気の道>と呼ばれる場所でオリーブ色の肌の美しい女が兵士たちに取り囲まれているのを見かけます。二人はお互いを見つめあい、セヴェリアンは激しい興奮と既視感にとらわれます。
この女がいったい誰なのかは明らかにされません。しかしタロス博士の劇の中に明らかなヒントがあります。
伯爵夫人 もし、わたしの体にあなたの一部が残っていたら――精液の雫がわたしの股間に詰まっていたら・・・・・
メシア もしそうなら、もうしばらくウールスをさまようかもしれない。帰り道を決して見つけることのできない迷子としてだ。しかし、おまえと寝るつもりはないぞ。おまえは自分が死人以上の存在だと思っているのか?それ以下なのだぞ。
(中略)
伯爵夫人 まだ一刻もたっていませんが、庭園で嘆いているわたしを兵士たちが見つけたのです。そのとき、侍女はわたしを慰めようとしていたのです。わたしが暗い戸外にいるのを恐がると、兵士たちは<空気の道>と呼ばれるあの画廊を通って、わたしをアパートメントに連れ帰ってくれました。あの道は知っていますね?
審問官 よく知っています。
伯爵夫人 では、あそこにはいたるところに窓があいていて、隣接するすべての部屋と回廊に通じていることも、ご存じでしょう。あそこを通っていった時に、窓の一つに一人の男の姿が見えました。背が高く、手足が綺麗で、肩幅が広く、腰の細い人でした。
(中略)
伯爵夫人 世界にほとんど時間が残っていないから、これを見物して時間を無駄にするのはやめますわ。あなたは庭園の裸の男のお友達なの?わたしはこれから彼を探しにいきますが、会ったら、あなたがどうなったか、彼に伝えてあげますよ。
メシアンヌ ぜひ、そうして!手遅れにならないうちに、彼にきてもらいたいの。
伯爵夫人 そしてわたしはね、彼があなたの代わりにわたしを受け入れてくれるといいと思っているのよ。二人とも同じように絶望的な境遇であることは間違いないわ。まもなく、わたしたちは絶望の姉妹になるでしょう。--「調停者の鉤爪」第24章
この伯爵夫人の名はカリナ (Carina) です。Carina は Karina に通じますが、Karina とはもともと Katharine から派生した名前なのだそうです。一方、セヴェリアンの母親のキャサリンは Catherine、拷問者組合の守護聖女である聖キャサリンは Katharine です。ここから伯爵夫人=セヴェリアンの母キャサリン=聖キャサリン、との関係が成り立ちます。
メシアに拒まれ、生まれ変わったウールス=ウシャスに行き場のない伯爵夫人は<時の広間>を通ってウールスの過去に旅立ちます。独裁者マクセンティウスの時代にあらわれた彼女は拷問者組合に処刑されることにより、拷問者組合の守護聖女キャサリンになります。もう一人のキャサリンはペルリーヌ尼僧団のもとから<鉤爪>を盗み、オウエンと出会い、セヴェリアンを身篭り、そしてやはり拷問者に処刑されます。従って二人のキャサリンはどちらもセヴェリアンの母なのです。(一人の人物が時間線を移動することにより、何人もの別個の存在としてあらわれる、というのは "The Urth of the New Sun" の重要なモチーフです)セヴェリアンをある意味動かしたのと同様に、<鉤爪>はキャサリンに影響を与えてセヴェリアンの出生を確かなものにした、とも考えられます。もっとも<鉤爪>は<新しい太陽>の力の象徴にすぎないとすれば、セヴェリアンは自らの力により自らの生誕を決定付けた、とも言えますが。
それでは伯爵夫人とは何者なのでしょう?セヴェリアンが<絶対の家>のヴァレリアのもとに戻るのは、<新しい太陽>を求めてセヴェリアンがウールスを発ってから(ウールス時間で)約50年後のことです。その間セヴェリアンに代わって共和国を治めていたヴァレリアは、帰らぬセヴェリアンを待ちつづけることに疲れ、対アスキア戦争の指揮官で、おそらくは高貴人、そしてセヴェリアンにそっくりの Dux Caesidius という人物(セヴェリアンの帰還時には既に死んでいます)と再婚します。伯爵夫人がヴァレリアと Dux Caesidius の娘だという証拠は何もありません。しかしそう考えるならば、唐突に名前だけ登場する Dux Caesidius 、そして伯爵夫人の出自にうまく説明がつきます。彼女はヴァレリアの娘であるがゆえに<時の広間>を通って過去のウールスに戻ることができたわけです。
整理すると、セヴェリアンの母方の祖母はヴァレリア、そしてセヴェリアンの母のキャサリンは、<新しい太陽>の到来により滅びさる旧世界から過去に旅して<新しい太陽>=セヴェリアンが生まれる準備をします。結局セヴェリアンが最も愛した三人の女性のうち二人は自分の祖母、そしてもう一人は自分の中のもう一人の自分、ということになります。
かなり強引なこじつけですけど、けっこういいと思いません?
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